生物化学的酸素要求量
こんばんわ。
周囲のヲタ友の「さゆロス」が酷いです。
LINEを読んでいて、ちょっと引きました。
気持ちの整理をつけるために、連れ立って聖地、宇部に旅行に行くそうです。
いろんな意味でかける言葉がありません。
まあ何年も週末、平日問わず、あらゆるコンサ・イベントに行き。
握手会では膨大な量のプレゼントを贈り。
活動全てに累計何千万円(誇張ではなく)も費やしてきて。
週末、ふと何の予定も無くなってしまった。
喪失感が半端無いとは思います。
アイドル好きでもなんでもない人のさゆへの熱意を5としたら、私は329くらいはあると思うのですが、友人は計測中のスカウターが24000くらいで爆発するんじゃないでしょうか?
何となく数字にしてみましたが、根拠が無いので意味は無いです。
「去年はzeppでライブやってたのが、今年は中野だ」
「去年は1200のキャパだったが、今年は2200を埋めた」
こういうのがわかりやすい「数値化」。
数字からの流れで、今日はとある単位の話をします。
私は地図が好きです。
都心の川の流れ方を見たり、埋め立てられてしまった緑道や暗渠から、過去の景色を想像するのが好きです。昭和初期から戦後の地図とかワクワクします。
そしてなぜか「汚い川」に心惹かれます。
一般的に「ドブ川」と呼ばれるものです。
環境問題に興味があるわけではありません。
人の営みとその結果に興味があるのです。
ファンタジー小説などを読んでいると、井戸で水を汲んでいるシーンはあっても、トイレが、排水がどうなっているのかほとんど描写されません。この人口規模で下水道が完備されてなかったら、現実地球の中世ヨーロッパ時代のようになりそうだなと想像してたりしてます。
どういうことかというと、うんこやおしっこはオマルにして、その中身を全部道路に投げ捨てるというアグレッシブな生活です。いや一応捨てる場所はあるんですが、面倒くさいのでみんなそうします。住居が2階以上の場合は、下に警告してから窓から投げ捨てます。
なので道路は糞尿まみれです。
そりゃ伝染病が流行る訳ですよ。
スカトロ漫画を愛したり描いたりします私ですが。
モグタンが連れて行ってくれると言ってくれても「クルクルバピッチョ」するには躊躇します。
日本の場合は汲み取り便所→肥料にするという概念があったので、トイレ事情はとても良好でした。
青梅からの玉川上水から上水井戸へ。地面にしみこまなかった下水は側溝に流れて、川に注がれます。下水をそのまま川に流すって大丈夫か、と思われるかもしれませんが、洗剤も無いし、ラーメンスープも無いし、天ぷら油も無いし、そもそも排水量が少ないので生態系に影響は少なかったと思われます。
豆知識ですが、お風呂屋さんやクリーニング屋さんなど、水を多く使う店舗は川の近くに建てられることが多かったようです。下水管が無い時代、道路の側溝に大量の排水を流すと色々迷惑になるということで、独自に川に直接流していた模様です。
戦後、下水道の整備は水洗トイレと家庭風呂と洗濯機の普及による大量排水から緊急課題となりました。当初は下水も雨水も一緒に流した「合流式下水道」が建設されましたが、これだと大雨が降った際に下水処理場のキャパを超えてしまい、スルーせざるをえない全くの未処理下水が川や海に放流されてしまいます。海がうんこ色になります。
昭和40年くらいからは下水と雨水を分けた「分流式下水道」が一般的になっています。ただこれが皮肉にも都心の川の「ドブ川化」を生む要因の一つになりました。
川は流れがあることによって自浄作用を持つのですが、雨水が川に行かずに別ルートを通ることによって、もともと湧水の少ない都会の川にはほとんど水量が無くなってしまいました。
さらに満潮の時には東京湾から逆流してくる海水があります。その結果、中小川の中盤辺りには全く流れの無い淀みが生まれてしまい、滞留した水がどんどん腐っていくのです。
ああ、単位の話でした。
川の汚さを表すのに「BOD」という表記をします。
BOD(生物化学的酸素要求量)
BODとはBiochemical Oxygen Demandの略称で,河川水や工場排水中の汚染物質(有機物)が微生物によって無機化あるいはガス化されるときに必要とされる酸素量のことで,単位は一般的にmg/Lで表わします。この数値が大きくなれば,水質が汚濁していることを意味します。
戦闘力と同じで、数字が大きければ大きいほど「汚い」ということです。
BOD 1mg/L → 透き通るような清流
BOD 2mg/L → ヤマメやイワナが住める
BOD 3mg/L → 処理して水道水にできる限界
BOD 5mg/L → コイやフナならなんとか住める
BOD 8mg/L → 魚は厳しい。ボウフラくらいなら住める。
BOD 10mg/L → 水面は油やカスが浮いて常時臭い。ドブ川。
参考値:下水管の汚水はBOD100~200mg/L
さて昭和30年代の隅田川ですが、時代が時代ゆえに家庭も工場も排水を垂れ流しまくっていました。
そんな川の汚さを抽象的に言うと。
川の色が黒。
魚なんて一匹も居ない。
メタンガスの泡がブクブクと立っていた。
それを数値的にあらわすと、
「私のBODは40です」
その位汚かったのです。
http://hisappi.com/kanndagawa/kandagawa-sub/suisitu1.htm
ほら数字を出すと伝わりやすいですよね?
あのでかい川が下水道のBODに迫る「40」ということは、夏場のその臭気たるや想像を絶します。当時隅田川沿いの家は決して窓を開けなかった、という逸話の説得力が強まりますね。
恐ろしいことに、そんな隅田川で昭和36年まで早慶レガッタ(ボートレース)が行われていました。下水道の汚水レベルの場所で転覆して川の水飲んだら病原菌などで命の危険すらあるでしょうに、よくやってましたね。
神田川、呑川、目黒川、または道頓堀などもBODが20から、場所によっては100を越えるなど、水質汚濁は今よりはるかに酷かったのです。
現在では上記の川はおおよそBOD5以下程度にまで綺麗になっています。
神田川の橋から水面を眺めればコイが泳いでいたり、カルガモがいたりと、のどかです。まあ泳ぎたいと思えるレベルじゃないけど。
下水道が完備して、家庭排水も無くなり、雨水も流れて来ないはずの川にそんな綺麗な水がなぜあるのでしょうか。
実は上流にある下水処理場で高度処理した水を流しているのです。
処理水のBODはだいたい5程度です。BOD100以上の汚水をそこまで綺麗にできるほど、現在の技術は高度になっています。また地下鉄のトンネルなどの湧き水をパイプで運んで、わざわざ川に流しているパターンもあります。隅田川の下流では、実はその6割は「下水処理水」です。
だから人間は言葉を変えました。
「下水処理場」から「水再生センター」へ、と。
もはや「処理」のレベルを超えていると。
「綺麗な水がないなら、綺麗な水を流してしまえ」という作戦。
実に人間の力技っぷりがとても面白いと思いました。
さてBODが10を超えると魚も虫も住まない「死の川」になります。
そして水の中の酸素が微生物によって全て消費されてしまうのです。
最後にはその微生物も酸欠でみんな死んでしまいます。
でも「死の川」というのは人間視点の勝手な表現です。
「みんな」と書きましたが、死んでしまうのは「好気性細菌」です。
そういった酸欠状態での環境下でのみ生きていける微生物「嫌気性細菌」が存在します。むしろ酸素があると死んでしまうやつらです。土の中にいる破傷風菌とか、地球最強の毒素を出すボツリヌス菌、またビフィズス菌など人間の体内に住む細菌などもそうですね。
嫌気性細菌は人間が排出する汚水の中に存在する硫酸塩を分解することで熱を発生します。熱を発生させる=生きているのです。ただその化学変化の際に硫化水素を発生します。それがいわゆるタマゴやタマネギの腐ったような臭い=ヘドロの臭いになるわけです。
あいつらにしたら生きてるだけで臭いって言われているようなものです。
コミケ3日間風呂に入らない奴と同じです。
ようは自然の摂理に汚いも汚くないもなくて、各生物が淡々と各々の役目に従って化学変化させてるだけなですね。今後、黒っぽくてヘドロの溜まったくっさいドブ川を見たら「嫌気性細菌が活発に活動をしているんだな…うむ」と、自然のサイクルとして納得してみてください。
最後にまた豆知識。
硫化水素は銅に反応するので、ニンニクやたまねぎの臭いが手にこびりついた時には、10円玉をなすりつけると消せるらしいです。誰かやってみて!
バイバイ。
■
同人誌通販ですが、金曜までにお振込みされた方へは発送いたしました。
自家通販は締め切りました。
次回は冬コミ後です。
COMIC ZINさんの店舗か、通販をご利用ください。
http://shop.comiczin.jp/products/list.php?category_id=5729
周囲のヲタ友の「さゆロス」が酷いです。
LINEを読んでいて、ちょっと引きました。
気持ちの整理をつけるために、連れ立って聖地、宇部に旅行に行くそうです。
いろんな意味でかける言葉がありません。
まあ何年も週末、平日問わず、あらゆるコンサ・イベントに行き。
握手会では膨大な量のプレゼントを贈り。
活動全てに累計何千万円(誇張ではなく)も費やしてきて。
週末、ふと何の予定も無くなってしまった。
喪失感が半端無いとは思います。
アイドル好きでもなんでもない人のさゆへの熱意を5としたら、私は329くらいはあると思うのですが、友人は計測中のスカウターが24000くらいで爆発するんじゃないでしょうか?
何となく数字にしてみましたが、根拠が無いので意味は無いです。
「去年はzeppでライブやってたのが、今年は中野だ」
「去年は1200のキャパだったが、今年は2200を埋めた」
こういうのがわかりやすい「数値化」。
数字からの流れで、今日はとある単位の話をします。
私は地図が好きです。
都心の川の流れ方を見たり、埋め立てられてしまった緑道や暗渠から、過去の景色を想像するのが好きです。昭和初期から戦後の地図とかワクワクします。
そしてなぜか「汚い川」に心惹かれます。
一般的に「ドブ川」と呼ばれるものです。
環境問題に興味があるわけではありません。
人の営みとその結果に興味があるのです。
ファンタジー小説などを読んでいると、井戸で水を汲んでいるシーンはあっても、トイレが、排水がどうなっているのかほとんど描写されません。この人口規模で下水道が完備されてなかったら、現実地球の中世ヨーロッパ時代のようになりそうだなと想像してたりしてます。
どういうことかというと、うんこやおしっこはオマルにして、その中身を全部道路に投げ捨てるというアグレッシブな生活です。いや一応捨てる場所はあるんですが、面倒くさいのでみんなそうします。住居が2階以上の場合は、下に警告してから窓から投げ捨てます。
なので道路は糞尿まみれです。
そりゃ伝染病が流行る訳ですよ。
スカトロ漫画を愛したり描いたりします私ですが。
モグタンが連れて行ってくれると言ってくれても「クルクルバピッチョ」するには躊躇します。
日本の場合は汲み取り便所→肥料にするという概念があったので、トイレ事情はとても良好でした。
青梅からの玉川上水から上水井戸へ。地面にしみこまなかった下水は側溝に流れて、川に注がれます。下水をそのまま川に流すって大丈夫か、と思われるかもしれませんが、洗剤も無いし、ラーメンスープも無いし、天ぷら油も無いし、そもそも排水量が少ないので生態系に影響は少なかったと思われます。
豆知識ですが、お風呂屋さんやクリーニング屋さんなど、水を多く使う店舗は川の近くに建てられることが多かったようです。下水管が無い時代、道路の側溝に大量の排水を流すと色々迷惑になるということで、独自に川に直接流していた模様です。
戦後、下水道の整備は水洗トイレと家庭風呂と洗濯機の普及による大量排水から緊急課題となりました。当初は下水も雨水も一緒に流した「合流式下水道」が建設されましたが、これだと大雨が降った際に下水処理場のキャパを超えてしまい、スルーせざるをえない全くの未処理下水が川や海に放流されてしまいます。海がうんこ色になります。
昭和40年くらいからは下水と雨水を分けた「分流式下水道」が一般的になっています。ただこれが皮肉にも都心の川の「ドブ川化」を生む要因の一つになりました。
川は流れがあることによって自浄作用を持つのですが、雨水が川に行かずに別ルートを通ることによって、もともと湧水の少ない都会の川にはほとんど水量が無くなってしまいました。
さらに満潮の時には東京湾から逆流してくる海水があります。その結果、中小川の中盤辺りには全く流れの無い淀みが生まれてしまい、滞留した水がどんどん腐っていくのです。
ああ、単位の話でした。
川の汚さを表すのに「BOD」という表記をします。
BOD(生物化学的酸素要求量)
BODとはBiochemical Oxygen Demandの略称で,河川水や工場排水中の汚染物質(有機物)が微生物によって無機化あるいはガス化されるときに必要とされる酸素量のことで,単位は一般的にmg/Lで表わします。この数値が大きくなれば,水質が汚濁していることを意味します。
戦闘力と同じで、数字が大きければ大きいほど「汚い」ということです。
BOD 1mg/L → 透き通るような清流
BOD 2mg/L → ヤマメやイワナが住める
BOD 3mg/L → 処理して水道水にできる限界
BOD 5mg/L → コイやフナならなんとか住める
BOD 8mg/L → 魚は厳しい。ボウフラくらいなら住める。
BOD 10mg/L → 水面は油やカスが浮いて常時臭い。ドブ川。
参考値:下水管の汚水はBOD100~200mg/L
さて昭和30年代の隅田川ですが、時代が時代ゆえに家庭も工場も排水を垂れ流しまくっていました。
そんな川の汚さを抽象的に言うと。
川の色が黒。
魚なんて一匹も居ない。
メタンガスの泡がブクブクと立っていた。
それを数値的にあらわすと、
「私のBODは40です」
その位汚かったのです。
http://hisappi.com/kanndagawa/kandagawa-sub/suisitu1.htm
ほら数字を出すと伝わりやすいですよね?
あのでかい川が下水道のBODに迫る「40」ということは、夏場のその臭気たるや想像を絶します。当時隅田川沿いの家は決して窓を開けなかった、という逸話の説得力が強まりますね。
恐ろしいことに、そんな隅田川で昭和36年まで早慶レガッタ(ボートレース)が行われていました。下水道の汚水レベルの場所で転覆して川の水飲んだら病原菌などで命の危険すらあるでしょうに、よくやってましたね。
神田川、呑川、目黒川、または道頓堀などもBODが20から、場所によっては100を越えるなど、水質汚濁は今よりはるかに酷かったのです。
現在では上記の川はおおよそBOD5以下程度にまで綺麗になっています。
神田川の橋から水面を眺めればコイが泳いでいたり、カルガモがいたりと、のどかです。まあ泳ぎたいと思えるレベルじゃないけど。
下水道が完備して、家庭排水も無くなり、雨水も流れて来ないはずの川にそんな綺麗な水がなぜあるのでしょうか。
実は上流にある下水処理場で高度処理した水を流しているのです。
処理水のBODはだいたい5程度です。BOD100以上の汚水をそこまで綺麗にできるほど、現在の技術は高度になっています。また地下鉄のトンネルなどの湧き水をパイプで運んで、わざわざ川に流しているパターンもあります。隅田川の下流では、実はその6割は「下水処理水」です。
だから人間は言葉を変えました。
「下水処理場」から「水再生センター」へ、と。
もはや「処理」のレベルを超えていると。
「綺麗な水がないなら、綺麗な水を流してしまえ」という作戦。
実に人間の力技っぷりがとても面白いと思いました。
さてBODが10を超えると魚も虫も住まない「死の川」になります。
そして水の中の酸素が微生物によって全て消費されてしまうのです。
最後にはその微生物も酸欠でみんな死んでしまいます。
でも「死の川」というのは人間視点の勝手な表現です。
「みんな」と書きましたが、死んでしまうのは「好気性細菌」です。
そういった酸欠状態での環境下でのみ生きていける微生物「嫌気性細菌」が存在します。むしろ酸素があると死んでしまうやつらです。土の中にいる破傷風菌とか、地球最強の毒素を出すボツリヌス菌、またビフィズス菌など人間の体内に住む細菌などもそうですね。
嫌気性細菌は人間が排出する汚水の中に存在する硫酸塩を分解することで熱を発生します。熱を発生させる=生きているのです。ただその化学変化の際に硫化水素を発生します。それがいわゆるタマゴやタマネギの腐ったような臭い=ヘドロの臭いになるわけです。
あいつらにしたら生きてるだけで臭いって言われているようなものです。
コミケ3日間風呂に入らない奴と同じです。
ようは自然の摂理に汚いも汚くないもなくて、各生物が淡々と各々の役目に従って化学変化させてるだけなですね。今後、黒っぽくてヘドロの溜まったくっさいドブ川を見たら「嫌気性細菌が活発に活動をしているんだな…うむ」と、自然のサイクルとして納得してみてください。
最後にまた豆知識。
硫化水素は銅に反応するので、ニンニクやたまねぎの臭いが手にこびりついた時には、10円玉をなすりつけると消せるらしいです。誰かやってみて!
バイバイ。
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同人誌通販ですが、金曜までにお振込みされた方へは発送いたしました。
自家通販は締め切りました。
次回は冬コミ後です。
COMIC ZINさんの店舗か、通販をご利用ください。
http://shop.comiczin.jp/products/list.php?category_id=5729
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